理事長挨拶

 平成22年5月15日に厚生労働省が発表した「介護保険制度における国民の皆様からのご意見募集」の結果概要によると、家族に依存せず生活できるような介護サービスがあれば自宅で暮らしたいとの回答が半数を占めていました。



 超高齢化社会を迎えた日本において、2025年には65歳以上の高齢者数がピークを迎え、高齢者の高齢化もいっそう進み、65歳以上人口に占める75歳以上人口の割合は2021年には世界一の水準になります。しかしながら、家族による介護能力は2005年には世界最低水準となっており、この事は、今後更に在宅生活の限界にいたる高齢者が増加することを予測させます。



 私がいわき市内で経営に携わっている医療法人では、1993年の診療所開設当初より、患者様の「自分の家で暮らし続けたい」という思いに応えるべく在宅支援に力を注いできました。2000年の介護保険スタートを機に更なる在宅療養の質の向上を図るべく、訪問看護・訪問介護・通所リハビリテーション・通所介護・短期入所生活介護・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援事業所等、在宅支援の様々な事業を展開し、医療・介護・福祉及び地域の資源を組み合わせて在宅生活を支えております。しかしながら老々世帯や独居高齢者の増加に伴い、やむなく在宅生活断念し、住み慣れた地域を離れなければならない方々を見るにつけ、在宅生活の限界を痛感し「住み慣れた自宅で最期まで暮らしたかったが、暮らせなくなってしまった高齢者」の想いを叶える為にも、住み慣れた地域で暮らし続けられる介護施設の設置の必要性を感じておりました。



 現在、いわき市における特別養護老人ホームの入所待機者は既存各施設とも100名を超えており、特に今回施設を開設する「好間・三和地区」には施設数がゼロという状況になっています。このような状況を踏まえ、三和地区からも交通のアクセスがスムーズで、医療法人の開業当初より交流が深く、現在も多数の患者様・利用者様がいる好間地区に「地域密着型特別養護老人ホーム」の開設を計画しました。更に併設施設として「小規模多機能型居宅介護」及び「短期入所生活介護施設」も計画しており、在宅生活から施設入所までを一連の継続した支援とし地域の皆様に提供することが出来、この地区の介護・福祉の拠点施設として地域の皆様へ老後の安心を提供できるものと確信しております。



 また、社会福祉法人を設立することにより、高齢者ばかりでなく様々な公益性の高い社会福祉事業の展開が可能となり、社会貢献にも寄与できるものと考えております。更に、新たな雇用を創造することが出来、好間・三和地区の交流の拠点として地域の架け橋となり地域活性化へと繋げたいと考えております。


社会福祉法人いわきの里 理事長  山内 真理子